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仁義なきキリスト教史 / THE HISTORY OF CHRISTIANITY
貧乏騎士ロベールと修道士アロームの兄弟はヴェネチアのリド島に来ていた。現代ではヴェネチア国際映画祭の開催場所として知られるここには、既にたくさんの騎士やくざが集まっていた。対立する任侠組織「イスラム組」からシマを奪い返すべく集まった地獄の遠征部隊「十字軍」であった。どの男の顔も出入りに向け、溌剌と輝いていた。
だが、幾ら待っても、十字軍は出発する気配を見せない。苛立ちを募らせるやくざたち。その裏には止むに止まれぬ事情があった。彼らの軍団には何よりも大切なものが欠けていたのだ。
――そう、カネが。
路銀を得るため、まずは手近なキリスト組の都市を襲うことにした十字軍やくざ。しかし、いかなやくざといえど任侠道というものがある。大目標のためとはいえ、同胞の都市を襲ったことに心を痛めるやくざたち。しかし、まだまだ路銀は足りない。と、そこに舞い込んできた旨い話。東ローマ帝国を陥とせば路銀がガッポリ手に入る……? ビッグチャンス……ビッグビジネス……。
「わしゃ何でこんなことしとるんかのう」
尽きせぬ疑問を胸に抱きながらも、彼らは東ローマ帝国との戦端を開く。イスラム組とは一戦も交えず、キリスト組国家を破壊するだけ破壊しておうちに帰った第四回十字軍の軌跡――。
7章 第四回十字軍
(上:ロベールとアローム)
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