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 国家権力とキリスト組やくざの蜜月関係は既に過去の歴史と化し、教皇グレゴリオス七世による任侠道改革を契機に、両者の権力闘争は激しさを増した。その象徴的事件となったのが、いわゆる「カノッサの屈辱」であり、政治的圧力を駆使したグレゴリオス七世は、ドイツ王ハインリヒ四世を雪中、裸足で土下座させることに成功した。

 

 だが、この歴史的事件も両者の戦いに終止符を打つ決定打となったわけではない。後にハインリヒ四世の逆襲に遭い、グレゴリオス七世は憤死。そして、子のハインリヒ五世もまた教皇パスカリス二世へと牙を剥く。「ストゥリの協約」成立のその時、パスカリス二世の身に破滅が迫る――。

 

「わしゃ、あの時からこうなることは見えとったんじゃ。なんじゃ言うてもの。おどれらやくざはの、糞じゃ。……糞が腐っとるのは当たり前じゃけえのゥ!」

 

 父をも凌駕する邪悪さを秘めしハインリヒ五世、その姦計の結末や如何に――?

6章 実録・叙任権やくざ闘争

(上:ハインリヒ五世)

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